株式会社M.M.C. 【支援領域・観光】
≪観光開発~集客≫
全国津々浦々で町おこし村おこしが議論され、国も声高に観光立国を叫び2020年のインバウンド4,000万人を目標に掲げています。国内の観光開発は、発地型の団体行動から着地型の個人やグループ行動へ姿を変え、情報入手の利便性向上と相俟って、ますます集客に戦略性が求められるようになりました。
「一見、何も無い」と思われる幾つかの地域が村の存続を懸け、知恵を出し使えるものは何でも取り込み成功しています。しかし、残りの多くの地域では、成功事例の物真似に終始し独自性を打ち出せていません。これは、従来の箱モノ重視から人重視へ意識改革しなければ、観光客を捕まえるのが困難なことを意味します。
観光の意味合いは、その地の文化(国の威光)を訪ね見る(観る)ところから来ています。その形態は、物見遊山 ⇒ グルメ・温泉 ⇒ 参加・体験・交流などへと変化し、バリエーションが豊かになりました。
観光開発の戦略を考える手順は、まさに経営戦略・各事業部戦略の立案と同じマーケティングの流れです。地域の宝(自然・文化・史跡・食・伝統・イベントや作業体験など)を発掘し、コンセプトの下で醸成して、それを望む観光客へ分かり易く伝え、適切な価格に設定し、エリア内に於いて“おもてなしの心”で提供する。
これらを立案し展開する上では、多くの企業・機関・自治体・地元民が係るので、皆が納得するコンセプトと役割分担の確立は必須です。特に、町づくりでは暮らしづくりの主体である住民の総意を得なくては、仏作って魂入れずとなります。自分たちの町や村に誇りを持てば、乱開発の入り込む余地はなくなる筈です。また、観光客が期待する姿へ向けたインフラ整備や観光開発が進み、地域活性化への正のスパイラルが動き始めます。この音頭が採れるのは、溢れる情熱を持ち顧客目線で判断できる「風の人」なのです。
観光開発の最終ゴールは、日帰り客の1,000倍以上の経済効果が期待できる「移住促進」といっても良いでしょう。観光目的にも、『癒し』『地元との触合い』などに続き『安住の地探し』が入っています。気に入った土地で心豊かに安心して暮らせるのは、人生にとって幸せなことです。リピータは移住者の予備軍と考えられますので、集客も大切ですがリピータはもっと重要です。しかし、リピータ獲得へ至るには、余程の魅力を創り上げなければなりません。
観光客のニーズの根底には、未知への期待・懐古の情・探究心などがあると考えます。そして地方には、豊かな自然・農林水産物・名所旧跡・伝統文化・温かい人情など、殺伐とした都会ではなかなか味わうことができない『日本人の根っ子』が沢山あります。地元に眠っている宝を探し出し、観光客の期待を満たすレベルへ磨き上げた商品開発をしなければなりません。最近では、観光客が回遊するルート内で、互いに連携を取る動きも見えてきました。これは、相互扶助で魅力の相乗効果に取組んだもので、根底には顧客目線が伺えます。
観光開発には、マーケティングを用いた戦略立案から商品開発そして販売促進策(情報発信)が必要です。これは、【販売:売れない現状と原因】の項でも述べましたが、中小企業の商品が売れないのも観光客が訪れないのも同じ原因に由来し、同じ問題点を抱えていると考えられます。その中で、幾ら良い商品を開発しても、対象顧客が知らなければ売上げは期待できません。また、顧客へ伝わったとしても、良質な情報内容でなければ、競合と比較検討する中で振い落されてしまいます。例えSNSを使ったとしても、その中身が大切なのです。
日本人は、情緒的であり論理的に物事を進めるのが苦手と言われています。しかし、ビジネスを展開する上でこの言葉が免罪符になる訳ではありません。しっかりと戦略を立てて、実践することが望まれます。